新型コロナウイルスの影響が社会に根強く爪痕をつけ続けている中、家族の理解度や職場の都合でスタジオでのバンド練習すら困難でバンドが解散の危機に瀕している…
残念ながらそんなお話もポロポロと耳に入り始めました。
そんな中でも音楽活動を続ける方法のひとつとして「リモートバンド練習」はいかがでしょうか?
ここでは「リモートバンド練習」のやり方と問題点などをまとめてみました。
リモートバンド練習ってなに?
コロナ禍でリモート飲み会が話題になりましがた、それと同じようにバンド練習も各パートがそれぞれの場所からインターネットを通じてやってしまおうというのがリモートバンド練習です。
リモート飲み会などでZOOMやラインを使われた方はお気づきかもしれませんが、あれって慣れるまで音の遅延が気になりますよね…
会話なら慣れればどうってことない遅延ですが、複数のパートがリズムをそろえて演奏するとなると遅延のあるZOOMやラインなどでは無理だと言えるでしょう。
何かに特化したものは常に美しい。
「音の遅延を限りなくゼロにする」というミッションの下でわれらのYAMAHAさんがリモートバンド練習に特化したフリーソフトを配布してくれています。
その名もSYNCROOMです。
https://syncroom.yamaha.com/
以前はNETDUETTOという名前で試験的にサービスされていましたが、2020年7月末に正式版としてSYNCROOMというサービス名での運営となりました。
SYNCROOMは操作方法も含めてほとんどの部分はテスト版のNETDUETTOと変わりませんが、演奏の録音機能などが追加されておりこれがかなり重宝します!
演奏の上達のためには自分たちの演奏を客観的に聴いてみるのが一番ですもんね!
このSYNCROOMはソフトも利用料もすべて無料なので、必要な環境がそろっていればネット上の知らないプレイヤーと試しにセッションをするという使い方すらできちゃうんです!
「みんなで集まって練習ができない」という悩みを抱えているバンドマンは試してみる価値がありますよ!
YAMAHAさん本当にありがとう…
必要な環境
参加者全員に以下のものが必要となります
1.Windows10(64bit)やmacOS Mojave以降がまぁまぁ快適に動くパソコン(CPU 2GHz以上、メモリ8GB以上が推奨されています)
2.インターネットへの有線LANでの接続(この先何度も言いますがとても重要)
3.WindowsではASIO対応のドライバまたはオーディオインターフェース(推奨なので必須ではない)
4.オーディオインターフェースと各自の楽器を接続するもの
5.無料の会員登録(SNSアカウントでのログインも可)
ほとんどの必要物は普段DTMをされている方であればどれもすでに手元にあるものではないかと思います。
次項で詳しく説明しますが、有線LANは必須レベルなので無線LANで試してみてダメなら迷わず有線LANで使ってください。
Android版もリリースされているそうなのですが、こちらはまだ開発中のテスト版のような位置づけで動作保証などもありませんので「使ってみて使えたらラッキー」という程度に考えるのが良いかと思います。
おススメのオーディオインターフェースは?
SYNCROOMのために新しくオーディオインターフェースを買いたいけどどれを買ったらいいかわからないという方もおられるかと思います。
Windowsパソコンをお使いの場合はパソコン自体にライン入力端子がついている場合があり、ライン入力でうまく動くようであればオーディオインターフェースの購入は必要ありません。
Windwosユーザーでライン入力では機器を認識しない or なんか音量が小さかったり音質が悪い or 遅延が出るなどの問題がある場合やmacユーザーのかたはオーディオインターフェースが必要です。
SYNCROOM公式では以下のモデルが勧められています。
いずれもYAMAHA(SteinbergもYAMAHAみたいなもんです)が関わっているものなので、動作検証などはこれらの機種が基準になっていると想像しており、強いこだわりがなければここから選ぶのが無難かなと思いました。
この中で私がおススメするのがこちらです。
こちらのUR22Cは実売価格2万円を切るエントリーモデルですが、お値段の割にノイズも小さくギター類やマイクが同時に2本刺せる優れものです。
目立たない特徴ですがUSB TYPE-Cで接続できるという点がとてもありがたく、最近のmacはもちろん最近のiPadにも直接接続できるようでリモートバンド練習のみならず、今後DTMを始める方にとっても最初の一台にふさわしいモデルだと思います。
Windowsユーザーはパソコン本体にTYPE-Cポートがついていない場合もあるので要注意なのですが、数百円で変換コネクタが売られていますので必要な場合はそちらをご用意ください。
ちなみになのですが、変換コネクタの品質を気にしなければダイソーでも売られています。(100円)
オーディオインターフェースは自分の耳が追い付いていなければ自己満足の世界でもあるので、違いが判らないうちは無理に高いものを買わずにエントリーモデルを使って、耳が肥えて不満が出てきたら必要に応じてステップアップするのが良いかと思います。
【重要】有線LAN接続が必須だと思ってください
無線LAN(Wi-Fi)を使って音が切れまくったり何が聞こえてるかよくわからない場合は、インターネットへの有線LANでの接続が必要です。
無線LANでも行けるという話もチラホラ見ますが、ネットゲームをされてる方などで専用のめっちゃ早いWi-Fiルーターを使ってる感じなのかなと想像します。
見落としがちなのですが大きなお家で使われている場合、パソコンとルーターは有線LANでつないでいるけど途中に無線LANがあるというケースもあってこの場合は無線LANでつないでいるのと同じ状況なのでうまくいかない場合はチェックが必要です。
試しに無線LAN(Wi-Fi)で通信テストを行ってみたのですが、「遅延」や「通信状況」に困ったマークがついちゃいます。
このマークがついてると使い物にならないので、通信の質やパソコンからインターネットまでの経路に無線LANが挟まってないかなどを確認してください。
コミュニケーションのために
SYNCROOMにはチャットの機能があるので簡単なやり取りは可能ですが、曲のキメなど詳細な打ち合わせは音声でできればスムーズです。
ボーカリストはそのままマイクを使ってやり取りできるのですが、ギタリストやベーシストは別途マイクを用意する必要があります。
機材がある方はギターやベースと同時にマイクを接続して使うのもアリですが、それが面倒だったり難しい場合は全部をSYNCROOMでやろうとせずにZOOMやLINEのグループ通話などを使っちゃうのもアリかもしれません。
ZOOMやLINEを使う場合は演奏中にはミュート推奨です。
演奏中にもオンにしてると演奏の音が遅れて入ってくるので大変煩わしいです…
実際に使ってみた感想
SYNCROOMには最大10名までが参加できるのですが、人数が増えれば増えるほど遅延が発生する可能性があるそうです。
私は最大4人で試してみたのですが遅延に関しては無視できるほど小さくゼロと考えても良いのではないかと思います。
ただ、ときどき高負荷の時などは誰かの音が一瞬ブチっと切れて、そのままみんなとの演奏に戻るということがあります。
シビアなネットレコーディングのような使い方には難がありますが、音合わせ確認程度の練習であれば問題なく行えると思います。
参加者全員がスペックの良いパソコン、速い回線にすることでこの辺りは軽減されてゆくのかなと想像します。
とてもありがたい点
・自宅にいながらバンド練習ができる(最高)
バンド練習となるとみんなで時間を合わせて、スタジオを予約して、着替えて外出のために身なりを整えて、何らかの方法でスタジオまで移動してと、ちょっと気合が必要ですがリモートバンド練習なら布団から出て1~2分で練習スタートなんですよね。
この快適さはめちゃくちゃいい…なんなら、練習が終わった瞬間にまたお布団で寝られます…
移動時間とかがないのでほかのことに時間が使えるのもありがたいです。
念のためお伝えすると、SYNCROOMにはビデオ通話のような機能はありませんので全裸で参加しても問題ないです。
・全員集まらなくても気軽に練習できる
スタジオ練習となると全員集まらないとやりにくいと感じられるバンドも多く、特に学生さんとかだと金銭面でスタジオに入る回数に制限が出てくるでしょうからできるだけ全員で集まりたいところですよね。
しかし、リモートバンド練習ならその辺を気にする必要がないので集まれる人だけで気軽に集まったりできますね。
リズム隊だけでのパート練習なども気軽にできるのが助かります。
パートを減らしての練習って、普段見えない部分がいろいろと見えるようになるのでレベルアップにつながりやすいんですよね…
・メンバー募集の時とかも便利
新たなメンバーを迎えようとするバンドさんはオーディションのような感じで加入希望者にセッションに参加してもらうこともできるかと思います。
ネットでちょっと試してみて、双方ともに合いそうであれば実際に会うっていうやり方ができるのでどちらにもメリットがあるやり方になりそうです。
ちょっと難しい点
・簡単な音合わせ以上のことは難しい
顔が見えないからこその意思疎通の難しさもありますし、音質がめちゃくちゃ良いというものでもありません。
ライブが目標となっているバンドの場合は音作りや他メンバーとのサウンドバランスも重要となるのですが、この辺りはネットで行うのが困難だと思います。
リモートバンド練習は曲の進行確認や解釈の統一を主な目標として、それらが固まったら実際にスタジオでというのが基本的な流れになりそうです。
・知識がないとオーディオインターフェースと楽器の接続に戸惑うかも
ひとりくらいバンドメンバーに詳しい人がいると思うのでその人に聞くのが近道です。
また、推奨機材を買うと情報も多くトラブルが少ないのでこれから機材を買う人は推奨機材を選ぶのが良いでしょう。
・ドラマーの参加が難しい
ドラムルームがある豪邸にお住いの方はいつでも参加できそうですが、すぐにドラムを叩ける環境にない方が多いと思います。
最近は3万円以下でも叩き心地のよい電子ドラムがありますのでそういうのを導入するのも方法のひとつかと思います。
ただ、フットペダルを使う時の振動は大きいので、マンションなどでは下の階の住人の方に大きな騒音を出してしまう可能性もあります。
電子ドラムの導入も難しい場合は、有線LANでインターネット接続ができるスタジオなどがあればドラムのマイク録りで参加するなども方法のひとつです。
SYNCROOMには音源を流しながらネットセッションする機能もありますので、ドラマーの参加は諦めて打ち込み音源などで対応するという選択もアリかもしれません…
以上がSYNCROOMを使ったリモートバンド練習のご紹介になります。
無料で利用できるサービスなので、興味がわいたら気軽に試してみてください。
タイアップスのイベントに出演したことがあるorこれから出演する方であれば微力ながらタイアップスでもサポートしますのでお声がけくださいね!
SYNCROOMについてはこちら
https://syncroom.yamaha.com/