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ボーカリストは再確認を!
マイクの正しい持ち方・使い方

特集

絶対に読んでほしい人:初心者ボーカルさん
ぜひ読んで欲しい人:初心者じゃないボーカルさんの復習、MCも含めてステージでマイクを使う人全員

※初心者の方にもわかりやすいように、なるべく難しい表現を避けて書いています

どんなに歌がお上手な方でもマイクの取り扱いがマズいとせっかくの歌をお客さまに気持ちよく届けることができません。
カラオケなどでマイクの取り扱いに自信があるかもしれませんが、ライブハウスの場合はマイクの使い方や気を付けるべきことが大きく変わってきます。
ギタリストがギターの使い方を学んで機材の使い方を覚えステージに立っているのと同じように、ボーカリストも正しいマイクの使い方を覚えなければなりません。
タイアップスのイベントに出演される方でボーカル初心者の方はもちろん、ベテランの方、歌わないけどMCでマイクを使う方なども含めて本内容をご一読ください。

はじめに

素敵な歌を気持ち良くお客さまに届けるためには良い音質、適度な音量以外に不快な音を出さないということも大切になります。
ライブハウスで耳にする不快な音の代表は大音量で「キーン」とか「ボーーー」ってなっちゃうハウリングですね。
一般的にハウリングはとても嫌われる音なのでPAさん(ライブハウスの音響担当)はハウリングを起こさないことにも注力しています。
このハウリングはマイクの不適切な取り扱いが原因で起こることが多々あります。
マイクの扱いが上手なボーカルであればハウリングを起こす可能性も低くPAさんも安心して音量を上げられるのですが、上手でない方であればハウリングを避けるためにあまり音量を上げることができず、結果としてお客さまに小さな音量や適切でない音質でしか届けられなくなります。

PAさんに安心して音量を上げてもらって、お客さまに歌声をしっかり届けるためにはマイクを正しく使う必要があるのでボーカリストはぜひこの機会に正しいマイクの使い方を覚えてください。

1.マイクの持ち方

初心者バンドさんがライブをする場合、半分以上のボーカルさんが「ダメな持ち方」をしています。
覚えてしまえば簡単なのでこの機会に正しい持ち方をしっかりと覚えてくださいね!

まずは、やってはいけないダメな例から。

一番ダメな持ち方

代表的なダメな例として、テレビの音楽番組やアニメ、マンガなどで見かけることがあるマイクのグリル(ボール部分)を握る持ち方です。
カッコよさを追求した結果かもしれませんが、グリルを握るのは厳禁で、指もかけないほうが良くてマイクのボール部分は触らないと覚えておきましょう。
この持ち方をするとスピーカーからキーンという大きな音(ハウリング)が出やすくなり、ライブハウスの音響担当(PA)が音量を上げにくくなります。
このような持ち方で歌っている人も見受けられますが、特殊なマイクを使っていたり、実際にはマイクを使っていなかったり(口パク)ということが多いです。

↑これもダメな例

逆に、マイクのお尻を持ちすぎるとマイクケーブルの接触不良などでブチブチと不快な音が出る可能性がありますのでよろしくないです。

マイクはできるだけ本体の中央部を持つようにしましょう。

マイクの位置が変

マイクを胸元で持ったり、逆に天から真下に向けるように持ったりはいずれもマイクと口が正しい位置関係(のちほどご説明します)にならないので声がきちんと入らない可能性があります。

これらも歌番組などでよく見かける持ち方ですが、ライブハウスだと声がしっかりと入らないため避けたほうが良いです。
お行儀の良さを意識してか胸元でマイクを持って歌われる方も見かけますが、次にご説明する正しい持ち方を意識しましょう。


正しい持ち方

マイクの種類や歌唱スタイルにより違いがありますが、ライブハウスにあるマイクならだいたいこうしておけば大きな間違いはないという持ち方のご紹介です。
マイクのグリップ中央を持ってマイクのグリルのてっぺんが下唇にまっすぐ向かう感じで持ちましょう。
マイクは唇から2~3センチ(指が2本入るくらい)ほど離すのが良いと言われています。
ボーカルの声量や演奏の音量によってはもっと近づけたほうが良い場合がありますが、近づけすぎると声にボワボワ感が出てくることがあるので聴きながら判断してください。
カラオケなどでは握りこぶし一つ分離すようにと指導されるかもしれませんが、ライブハウスだとマイクが離れすぎと言えるでしょう。
マイクと口の距離をキープするためにグリルに指をかける人もおられますが、先述の通りグリルには指をかけないほうが良いです。

これらは定番マイク(ライブハウスやスタジオによくあるSHURE SM58など)を使った場合の一般論です。
口とマイクからの距離はマイクのモデルにより変わってきますので、別のモデルのマイマイクを持っている方は取り扱い説明書などをご確認ください。
また、声質や音楽のジャンルによっても良い方法が変わりますのでスタジオなどで実際に試して自分に合った距離感を探してみてください。

ちなみに、ステージ上でよく動く方はマイクケーブルが抜けるのを防いだり、マイクケーブルが動くことによる雑音を軽減するためにケーブルをひとまわしまとめて一緒に握ることもあります。

2.マイクの取り扱い

ライブハウスではカラオケなどよりもかなり大きな音を流しているので、ちょっとした不注意で予期せぬ爆音がでて機材や会場にいる方の耳へダメージを与えてしまうことがあります。
こういったことを避けるため、やってはいけないことを頭に入れておきましょう。

マイクの付け替えや、お手入れはPAさんにOKをもらってから

自分用のマイクを持ち込む場合は会場に設置しているマイクを外して自分のマイクをセットしなければいけませんが、勝手にケーブルを抜くと「ボン!!!」とか「ブツン!!!」っていう感じの爆音が出ることがあるので絶対にやってはいけません。
これは、音が不快なだけでなく場合によってはスピーカーなどを破壊してしまうこともあり、その後のライブ自体が中止になることもあり得ます。
マイク交換の際は「マイクを交換したいです」とPAさんに伝えて、OKをもらったら交換しましょう。(会場によってはマイクを渡せばPAさんがすべてやってくれます)

また、マイクに除菌スプレーを噴いたり、タオルなどで汚れを落としてから使う方もおられますが、その場合もマイクの音量が上がっているままやってしまうと不快な音を出してしまう可能性がありますのでお手入れや掃除の際もPAさんの許可を得てからやるようにしましょう。
他の人が汚したマイクをそのまま使うのが気になる方は本記事の最後に余談がありますのでそちらも読んでくださいね!

音が出ているかチェックするためにマイクを叩かない、乱暴に置かない

何度もお伝えしていますが、ライブハウスではマイクを大音量で使うためマイクを叩いたり床に乱暴に置いたりすると爆音となりスピーカーなどを壊してしまう可能性があります。
なので、音が出ているかの確認のためにマイクを叩くのも絶対にダメです。
息をふーっと吹きかけて音のチェックをするのも嫌がられることがありますし、マイクの先端を爪でカリカリすると今度はマイクのグリルを痛めてしまうこともあるので良くないです。
音が出ているときのチェックは「あー」でも「テスッテスッ」(テスト、テストのカッコいい発音)でもいいので、必ず何かしらの声でやるようにしましょう。
この辺りはマイクのグリルは触らないのルールを守れば同時に防げる部分でもありますね!

スピーカーに近づきすぎない

マイクのグリルがスピーカーの方に向くとキーンという爆音でハウリングを起こしてしまいます。
ステージ上を動き回るかたはマイクをスピーカーに向けないということを意識してください。
ほとんどのライブハウスでは足元にスピーカーが設置しているのですが、ボーカルが曲の間奏などでマイクを持つ手をおろした時にマイクのグリルが足元のスピーカーに向いてしまうこともあります。
よくあるのは、足元に置いているステージドリンクをしゃがんで取ろうとしたときに、足元のスピーカーに思いっきりマイクが向いてしまうというものです。
うっかりミスを起こしやすいのは足元のスピーカーなので十分注意してください。
使い終わったマイクを足元のスピーカーの上に置くとかは絶対にダメですよ!


ついついグリルを手で押さえるのもダメ

マイクのグリルは触らないという鉄の掟はいかなる時でも守らねばなりません。
ステージ上でキーンとハウリングが発生してしまうと、ついついその音を止めようとマイクのグリル(ボール部分)を手で覆ってしまいますが、これはハウリングを悪化させることになるのでキーンと鳴ってもグリル部分を触らないようにしましょう。
もしも、キーンと鳴っているときにマイクがスピーカーに近づきすぎているようであればそっとスピーカーから離れましょう。
原因がわからない時は慌ててマイクの向きを変えるのも良くないのでそのままPAさんの対応を待つのが良いでしょう。

 


以上、マイクの正しい使い方についてでした。
使うマイク、声質、音楽のジャンルによってはここで「ダメ」と言われている方法を取ることもあるかもしれませんが、それらは正しい使い方を覚えた上での裏技だと思います。
マイクの使い方の基本は以上の内容を覚えるだけでだいたいOKですので、この機会に正しい使い方を覚えておいてくださいね!

余談:ぶっちゃけ人が使ったマイクを使うのはイヤって人もいますよね

実際のところライブハウスではマイクに口をかなり近づけて利用することが多いので、前に使った人の謎のじっとり感や妙なにおいが残っていることは多々あります…
気になる方は衛生面という意味でもマイマイクを購入してそれを会場に持ち込むのが良いでしょう。
しっかり活動されているバンドであれば、ほとんどのボーカルさんがマイマイクを持ち込まれるので珍しいことではありません。

ただし、マイク選びは慎重にしなければなりません。
マイクには大きく2種類あり、ライブハウスではダイナミックマイクというものを使うことがほとんどです。
1000円くらいのマイクもありますが、その多くは音量が十分に上がらなかったり、すぐにハウリングを起こしたり、ノイズがでたりと大音量利用に向いていないものが多く、ライブハウスで快適に使うには役不足です。
マイクは気軽に試しながら選ぶ機会も少ないので、いきなり高価なものを買っても自分の声質やスタイルに合わないということもあります。

何を買ったらいいかわからないけど、衛生面からとにかく自分のマイクが欲しいという方は、先に名前が挙がったSHURE SM58を購入するのが良いでしょう。

SHURE SM58(ゴッパー)はほとんどすべてのスタジオ、ライブハウスで使われている定番マイクなのでPAさんも安心して使うことができますし、後のマイク選びの基準となることが多いモデルです。(ゴッパーより○○という表現で紹介されるマイクが多いです)

ただし、人気モデルがゆえに怪しいお店や中古品などでは偽物も多く流通しています。
購入する場合は保証などがしっかりある信頼のおけるお店で買うのが良いと思います!